2018.5.23
より効果的なお薬を処方するために
今日はランニングではなくて、ちょっと辛口なブログです。
我々開業医がお薬を処方するためには、お薬の情報が必要です。そして、より良いお薬を出すためにそのお薬の情報を詳細に検討する必要があります。
そのお薬の情報を得る方法は、
・製薬会社のMR(Medical Representative: 医薬品情報提供者)さんからの情報
・論文などを読んで
などです。ただ、限られた時間でたくさんの論文を読んで・・・というのはなかなか難しいので、製薬会社のMRさんからの情報が頼りになってきます。当然MRさんは自分の会社の薬を売るために来ていますので、プロモーションとしては自分の会社の薬に有利な情報を出してきます。
当然新薬は「今までの薬よりも良い点があったから承認されている」はずです。でも、その薬のパンフレットを読んでも多剤との比較をした形跡がない、第3相の試験の結果がぼやかしてしか書かれていないようなことが最近ありました。これではこのお薬は使えません。
僕は、「この新薬がほかの現行の薬より、どのような点がどのように優れているのか」というのがはっきりしてはじめてそのお薬を患者さんに処方するかどうかを検討します。この薬が「どのような背景でどのような患者さんに、どんな効果を狙って作られたか」、そのうえで臨床試験を行って「どのような結果が得られて、(ほかの薬に比べて)どのような優位点があったか」というのがはっきりしてはじめて患者さんに処方するわけです。
当院では、製薬企業からの、たとえば過剰な接待は受けませんし、それによっての処方を変えていくようなことは一切ありません。(そもそも製薬会社も、最近ではかなりクリーンになってきており、過剰な接待等は禁止されているはずです)もし、その薬を売りたいのであれば、そのような情報をしっかり持ってくること。それをぼやかしているもの、そもそも納得できないものは一切処方しません。
医薬品の開発って、実はとってもとっても大変なんです。たくさんの人と資金が必要で、治験担当の先生とそれを受けてくれる患者さんの協力が必要です。その開発の人たちの苦労、協力してくださった先生方、患者さんのためにもぜひ「この薬はこんなところがすごいんです」というデータを包み隠さず持ってきていただきたいです。